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ブラックな夜 色々な夜-類架 2005年11月18日[00:00]
 「18日、付き合ってくれない?」

週末のデートの帰り際、花沢類が言った。

 「平日だけど大丈夫なの?」

小首をかしげて聞いてみた。
毎日仕事が忙しく、会えるのは月に2・3回。しかも、午後からとか、午前中だけとか。
年末に向けて仕事が多くなってきているらしい。
小さな会社の一般事務をしている私には、あまり影響がないんだけど。

 「ん。平気。迎えに行くから。」

全開の窓。
別れのキス。
走り去っていく車が見えなくなるまで手を振る。

またしばらく会えないと思っていたのに、またすぐ会えるなんて。
ちょっと嬉しいって、素直に思えるのはきっと花沢類だからかもしれない。

いつも忙しい花沢類は、会っても寝ることが多い。
そんな彼の寝顔を見ていると、すごく幸せな気分になる。
だけど、体が心配。
無理してるんじゃないかって、いつも思ってしまう。
それに・・・。


生きてる世界が違う。



花沢類は心配しなくても良いって言うけど、花沢類はお金持ちのお坊ちゃま。
あたしは、道明寺風に言えばボンビー人。
いつか来る・・・別れが、あともう少し先であって欲しい。。。

そう、いつも怯えてた。
会えなくなるほど、側に居れない時間が苦しくって、解かりきった事なのに。
ちゃんと理解してるのに。
心がついてこなくて、また不安になる。

もしも願いが叶うなら。
ずっと側に居たい。



***   ***   ***   ***



電話越しに聞こえてきた牧野の声は、いつも俺を心配してる。
だけど、アイツはわかってない。
俺がただ、会いたいだけってこと。
俺がただ、側に居たいだけって事。

ふと気がつくと、寂しそうな牧野の顔。
それを見ると、俺も寂しくなってくる。

大丈夫。
平気だから。
心配しなくても良いよ。

何度も言ってるのに、そんな顔されたら・・・ちょっとね。
実際に、もう親の了解はとってある。
牧野以外は考えられない。
今の俺があるのは牧野と出会ったからなんだから。

自信、持って欲しいな。もう少し・・・。


俺の言葉、信じて欲しい。




***   ***   ***   ***



ビックリするだろうな。もしかしたら、かなり面白い顔見れるかも。

そんな期待を裏切らないつくしは、類との約束の日フライパンを持って現れた。
というのも、類がつくしの家のスペアーキーを持っていて、18日になった深夜連絡なしに家に入ったのだ。

 「花沢類?!え・・・?!」
てっきり泥棒か何かだと思っていたつくしは、フライパンを握りしめたまま硬直した。

 「18日、なったから迎えに来たんだけど・・・時間言ってなかったっけ?」
時間なんて言ってない。
なのに、必死に思い出してる牧野の顔・・・ぷっ。

そんなつくしをそっちのけにして、類はつくしのクローゼットを探り出した。

 「寒いから、あったかい格好して。かなり寒いと思うから。」

 「え、ちょっと待って。い、今からなの?!」

 「そう。今から。」

 「下で待ってるから、着替えて降りてきてくれる?」

 「え、あ・・・うん。って何処行くの?」

 「着いてからのお楽しみ。」

玄関のドアが閉まり、つくしは呆けていたものの早速準備に取り掛かった。
深夜0時に迎えに来るなんて、一体何を考えているんだろうと思いつつ急いだ。
それでも素顔にパジャマだった為、20分程かかってやっと準備が整い、類の車へと小走りで近づく。


車は1時間半ほど走り、山の中へと入っていった。
何処へ行こうとしているのか、聞いても「内緒」というだけで、全く解からない。
ただ、車の中には水筒とカバンが一つ。それに毛布。



深夜辺りは冷え込み、漆黒の森。夜空に輝く月明かりと、満点の星。
車の揺れにつくしはいつの間にか眠っていた。

 「牧野、起きて。着いたよ。」

類の声につくしは眠気眼を擦りながら、辺りを見回す。

何もない。

先に車を降りている類の側へ行くと、4畳ほどのふかふかの絨毯と、小さなテーブルがある。
類はつくしに毛布を被せ、座るように促した。
つくしは言われるままに座り、ゆっくりと辺りを見回す。
月明かりだけの世界。
山の頂上なのだろうか、360度見渡せる。
類は、毛布を被りつくしの横に仰向けになって寝転んだ。

 「牧野もおいで。」

差し出された腕に寄り添い、夜空を見上げる。
頬をかすめる空気が頬を刺激する。
けれどそれ以上に見上げた星空は怖くなるほどに輝いていた。



 「眠い?」

 「ううん、眠気なんて吹っ飛んじゃった。すごく綺麗。なんか、最近星を見上げる事なかったかも。
 勿体無いね。こんなに綺麗だったんだ・・・。」

 「そうだね。」

 「今にも落ちてきそうな星空を観てると、吸い込まれていきそうでなんだか怖い気がする。」

 「ん。あ、コーヒー飲む?」
水筒に類が手を伸ばした時、つくしが声を上げた。

 「花沢類!今、流れ星!!」

星空のように瞳を輝かせるつくしに、類は目を細くしてコーヒーを差し出す。

 「願い事、出来た?」

 「あ!忘れてた!」

 「じゃあ、また観れるかもしれないから、願い事今のうち考えといたら?くすっ。」

つくしはコーヒーを一口飲み、願い事を考える。



あたしの願い。

花沢類がいつまでも健康でありますように・・・。
って、これじゃ神社のお参りみたいだし・・・。
花沢類とずっと一緒に居たい。
結婚なんて出来なくてもいい。
友達でも良い。変わらず、側に居れたら・・・。



 「決まった?」

 「うん。また観れるかわかんないけど。」

 「そうだね。・・・あ!今流れた。東の方。」

 「えー!観れなかったー。よし!今度は見逃さないんだから!」


グレーの雲がうっすらと漂っている。
澄み渡った空気の中に寄り添っていると、寒いのにあったかくて、
一緒に居ると心も澄み渡っていくのを感じていた。

キラリと走る光。
冷たい手を組み合わせ流れ星に願いをかける。


どうか、花沢類とずっと一緒にいれますように。


 「いいよ。」

類が小さく答える。
体がぴくっと反応する。

 「え・・・。」

 「俺、ずっと側に居るよ。離れる気なんて更々ないし?」

 「え、あの・・・ええっ?!」

 「なんでそんなに驚くのさ。さっき俺と一緒にいれますようにって願ったんだろ?声に出てた。」
くくくと笑う類と、真っ赤になって今更口を押さえるつくし。



 「好きだよ。これからもずっと。」






そんな二人の上でまた一つ、誰かの願いを乗せて流れていく。





END

◆後書き・・

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レッドな夜 色々な夜-類架 2005年11月04日[00:00]
鏡に向かってどれ位経つだろう。
髪をとかし、いつも通りにメイクする。

だけどあたしの顔は日に日に暗くて陰湿な顔に見えてくる。


花沢類が冷たくなった。
突然だった。
最初はどうしたんだろう、機嫌が悪いのかな?程度にしか思って居なかった。
だけど、それはエスカレートしていき、寂しさが募った。
寂しくて寂しくて、何度も会いに行ったけど会ってくれるどころか、
「会いたくない」と追い返されてしまうようになった。

先々週も・・・。
忙しいスケジュールを調整して、日曜日を約束していたのにそれさえも・・・。


それから無性に腹が立って、「一体何をしたって言うのよ!」って思ったけど、
やっぱり会えなくちゃ聞くことも出来ない。
電話にさえ出てくれないのに、話も出来ない。


 「あたしが何か悪い事したのかな・・・。
 何かしたんだったら謝るから・・・教えてよ・・・。
 花沢類・・・。」


鏡に映るもう一人のつくしに聞いてみる。
返事が帰ってくるはずもなく、つくしはうなだれた頭を鏡にもたれ掛けた。


 「教えてよぉ・・・・・・っ!」




ぽたっ・・・ぱたぱたっ・・・・・・




艶やかな黒髪が垂れ下がり、その隙間から雫がはらはらと落ちてくる。
小刻みに揺れる肩。
つくしは、へたれ込んで泣きじゃくった。



もう・・・嫌われちゃったんだね、あたし・・・。

今までちゃんと好きとか言わなかったから・・・。

ただ恥ずかしかった、だけだけど・・・でもちゃんと言えなかったから・・・。



つくしは、類との二人で過ごした時間を想い、小さく微笑した。


 「牧野、俺のこと好き?」
 「何よやぶから棒に。」
 「好き?」
 「うーん、・・・と、トイレ行ってこよっと。」
あの時、心臓飛び出るかと思ったんだよね。。。
 
 「今度ココ行ってみようよ。」
 「いいけど、日帰りじゃ無理だよ?」
 「あ、じゃあ忙しいからダメ?」
 「そうだな、すぐは無理だけど調整してみる。」
 「ほんと!?やった~!じゃ、予定決まったら連絡してね。それまでに資料集めとかなくちゃ。
 あとは~・・・あー!楽しみ~♪」

 「花沢類、寒いから一緒に・・・その・・・寝ない?」
 「いいよ。おいで。」
 「やっぱりあったかいね。」
 「そうだね。」
花沢類があんまりあったかくて、あたしはすぐに眠れたんだ・・・。


だけど、あの旅行から帰ってきて少ししてからだ。
花沢類が冷たくなったのは・・・。

思い出して、また涙がこぼれた。


もう、会えないんだね。花沢類・・・。
別れの言葉もないまま。
こんなんじゃ、あたし、辛すぎるよ・・・。







 「牧野・・・。牧野。」
あのまま眠ってしまっていたつくしは、類の声に目を覚ました。

 「花沢類・・・。なんでココに・・・?」

真っ赤に晴れ上がったつくしの顔をみて、散々泣いていたことが解かる。
切なく胸を締め付けられて、類はつくしに毛布を被せた。

 「なんか気になって。」

喉の奥が苦しくて、聞きたいことが沢山あるのに出てこない。
名前を呼びたいのに、言いたかった言葉が沢山あるのに―――――っ!

 「好きだよ。」

え・・・?

 「好きだよ。牧野のこと、すごく。」

じゃあ・・・

 「なんで・・・?」
またつくしは目頭に熱くなるものを感じたが、今泣く訳にはいかないと、
やっと声に出せた言葉を鼻をすすりつつもう一度聞いた。

 「じゃあなんで、会ってもくれなかったの?あたしの事嫌いになったからじゃなかったの?」

嫌いになった、という言葉に、類は目を丸くした。
まさかそんな風に思っているとは考えても居なかったからだ。

 「嫌いになれると思う?」

 「そんなの、そんなの解かんないじゃないっ!パンピーだし、礼儀とか全然わかんないし、
 胸ないし、それに大事なことも言わなかった・・・し・・・。」

類のおかしな問いに、捲くし立てる様に声を張り上げたが、
類の穏やかな笑みに段々と意気消沈していった。

 「大事なことって何?」

 「それは・・・その・・・。あたしが花沢類のこと・・・その・・・。」
つくしは目を泳がせ、顔を赤らめてうつむいた。
 「俺のこと・・・何?」

俯いたまま返事をしないつくしに、類はひとつ息をつく。


 「俺だって一応健全な男なわけだし?好きな女と一緒に居て、触れたいとか思うんだよね。
 だけど、牧野があんまり無防備だし。
 俺のこと、男として見てないんじゃないかって、思って。」

優しく微笑んでくれるその瞳に映るつくしの眼差しが強く光った。

 「そんな事ないわよ!あ、あたしだって花沢類のことちゃんと、男の人として
 ・・・す、好きだもん。」
言った途端、類はつくしを抱き締めた。
息も掛かる距離に、更に頬を染め上げていくつくし。
ふたりは互いの瞳に吸い寄せられるかのように、唇を重ねた。


 「会いたかったよぉ。」
 「俺も。」

 「これからは気をつけるから、だから冷たくしないでね?」
恥ずかしげに瞳を潤ませいうつくしに、類はくすりと笑う。

 「牧野って、紅葉みたいだね。」

は?
 「なんで?」

 「だって、急に冷たくしたら、こんなに真っ赤になったし?名前つくしから紅葉に変えたら?」
なっ!
 「もう!!花沢類っっ!!」


ふくれっ面なのに真っ赤な顔のつくしが愛しくて、類はまたキスをする。


 「もっと真っ赤な紅葉がみたいな。久しぶりだから、今夜はいっぱいしよ。」

・・・何を~~~~~~~~~~~!!!???

 「だから、牧野がもっと真っ赤になる事。もう待たないからね。」

花沢類のその笑顔みれて、すごく嬉しいけど、何かちがうぁぁぁうっ!!





ひらりひらりと舞い落ちる木の葉。
寒い秋の夜長に降り積もれば
木の葉にうずもれる恋心は暖か成り・・・。






END

◆後書き・・


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