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レインボーな夜 色々な夜-類架 2005年12月23日[23:47]
【レインボーな夜】

ある夏の雨上がり。
通り雨が過ぎると真っ青な空が深く空を彩る。
埃っぽい雨の匂いを大きく吸い込み、空を仰ぐとくっきりとした虹。
その向こうにもうひとつ。

2本の虹を見つけたつくしは、類の腕を力いっぱいひっぱり真っ直ぐ伸ばした腕の先にあるそれを
瞳輝かせて飛び跳ねるように大騒ぎして訴える。

 「ほら!見てみて!!虹が出てる!しかも2つもっっ!花沢類っほらっ!!」
綺麗だと、すごいだと歓声を上げながら、道行く人目も気にせずはしゃぐつくし。
そんな彼女に目を細め、類は答える。

 「めずらしいね、虹が2つって。」

 「でしょ?!ね!あたしも何年ぶりだろ・・・。そう、そうそう!確か小学校の時に一回見たんだよね~。」
その時ね?と当時のことを話し出すつくし。
類はくすりと笑い、つくしの話を聞きながら昔を思い出す。


 小さい頃、俺自身他人のことには興味なかった。
 だけど、自然や動物には抵抗がなかった。
 静に連れ出されて行った林の奥にある小さな小屋で、俺も一度通り雨が過ぎるのを待っていた。
 司たちは雨が上がると濡れた服を着替えてくると、水溜りに怒鳴りながら帰って行った。
 けど、俺は全然気にもならなくて。
 静たちが帰っていくのを見送りながら見上げた空に、2本の虹があったのを覚えてる。

 それが無性に綺麗に思えて、手を伸ばした。
 届くはずがないと・・・望んではいけないんだと、力なく諦めた・・・。



 「ほんと、バカだよね!自転車で虹を追いかけるなんて!虹が掴めるわけないのに。
 しばらくして虹が消えちゃって、おお泣きして・・・あ、でもどうやって帰ってきたんだろう。
 何とか帰ってきたんだよね、今ココにこうして無事で居るわけだし?不思議・・・。
 あー、虹に乗ってみたいなぁ・・・って、そんな驚くことないじゃない。」

だって、同じこと考えてたなんて。
 「くすっ。可愛かったんだろうな、泣いてる牧野。」
一瞬のうちに微笑を見せた類に安心したのか、またつくしは話し始めた。

 「でもね、一度で良いから虹を捕まえてみたいなぁってあの頃本気で思ってたの。
 今はちゃんと無理だって解かるんだけどね。」
子どもだったってことだよね、と苦笑いをするつくし。


類は消えていく虹を仰ぎながらふっと口元を緩めた。





突然思い出したのは、もしかしたらこのイルミネーションのせいかもしれない。
10年目。
あげたいものはまだまだ沢山ある。
だけど。
今年は・・・。

類は胸に秘めた願いを強く思った。






12月24日の夜。
類とつくしはメープルホテルの前で待ち合わせの約束をした。
ホテルのロビーには天井まで届くであろうクリスマスツリーが飾られている。
その横にはガラス張りのエレベーターが2基あり、早めに着いたつくしはツリーの下で類を待った。
夜10時になる頃、類がスーツ姿でやってきた。
カウンターで一言二言交わし、つくしの方へと近づいてくる。

 「まった?」
 「ううん、全然。」
短く言葉を交わし、類はつくしの横に立つと左肘を差し出す。
つくしはするりと手を添えると、エレベーターへと歩き出した。
類は最上階のボタンを押す。

最上階のランプが点滅し、ドアが開く。
敷き詰められた真っ赤な絨毯へと踏み出し、廊下のほうへと歩き出すと、
つくしはぴたりと足を止めた。

 「くすっ。どう?ビックリした?」
少しカーブになっているこのメープルホテルの建物の廊下は、同じように大きな曲線を描いている。
その廊下に、7色の絹の絨毯が敷き詰められていた。

 「何か、虹みたい・・・。」
光の反射だろう、遠くの方は少しダークに見えるが柔らかな光沢がある。
 「前に虹の上、歩いてみたいって言ってたでしょ?」
つくしは目をまるめ、覚えてたんだ、と驚きを隠しきれなかった。

 「ありがと、花沢類。」

一つ一つに歓声を上げるつくしを横目に笑いを堪えながら、類は部屋へと案内する。
ドアを開け中へと促す類に、つくしは会釈して進み出た。


 「ぅわぁぁぁーっ!!綺麗~!!」
メープルホテルの中でも一番のスウィートルーム。
初めて司に話した時、司は眉をぴくりと上げながら「最高の部屋を用意してやるからな。」と笑った。
類自身、ここまでとは思いもしなかった。

何もしなくても高級感のある最高級の部屋である。
それが、更にパワーアップし大統領でも泊まるのかと思うほど、沢山の花とロウソクが飾られている。
そして大きなクリスマスツリーの下には、沢山のプレゼントが積まれていた。

 「これ・・・。」
つくしは呆然と辺りを見回し、プレゼントの山を見つけると振り返り言った。

 「ん。それ全部牧野に。」

 「こ、こんなに?!」
驚きすぎて声が裏返ってしまった。
 「くくく。そんなに驚くことないでしょ?これでも厳選したんだけど?」
これで?!とまたもやつくしの声は裏返る。
 「こんなに貰えない・・・。」

 「そ?じゃあ一つ選んで。後はまた今度にするから。」
そう言うと、類はソファーに座りつくしの行動を見つめていた。
いや、そういう問題じゃないでしょ・・・とため息混じりに、つくしは一番上にある小さな箱に手を伸ばした。

ツリーの下に座り込み、しゅるっとリボンを解き、包装紙を綺麗にはがしていく。
手のひらサイズの箱の蓋を開けると、つくしの動きが止まった。




たった一言が書かれたカードが一枚入っていただけだった。

”愛してる”

つくしはそのカードに書かれた文字を指先でそっとなぞる。

つくしは大きく息を吸い込むと、次の箱を開け始めた。

”愛してる”

次の箱も、その次も、同じようにカードが入っているだけ。
つくしは次々に開けていく。

 あたしも・・・あたしも愛してる。

カードが一枚出てくるたびに、つくしは心の中で何度も想った。

全ての箱を開け終わる頃、つくしは押さえ切れなくなって類の元へと走り寄り類の胸に飛び込んだ。
何度も名前を呼び、強く抱き締めるつくしを類は受け止める。
 「あたしも、愛してるよ。。。ありがと、沢山・・・沢山ありがとう。花沢類。」


類はつくしを包み込み、泣き出してしまったつくしの頭をそっと撫でる。

 「つくし。」

涙目で見上げると、類はポケットから小さな箱を差し出した。
つくしは両手でそれを受け取ると、類の隣に座りなおし包みを開ける。

 「これが最後のプレゼント。」

中からはまた一枚のカード。


”結婚して”


つくしは小刻みに震える手でカードを取り出すと、カードの下にダイヤの指輪が輝いていた。


 「花沢類・・・。」

 「類、でしょ。」

 「あたし・・・。」

 「ん。」

 「ありがと・・・類。」

 「それ、もう聞き飽きたって言ったでしょ。」







ツリーに飾られた電飾が、つくしの指に光る指輪を七色に輝かせる。
虹色に輝く指輪を、つくしは類の腕の中でじっと見つめていた。

二人でなら虹も掴める。
温かな光の中で・・・。


メリークリスマス!



END





◆後書き・・

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ホワイトな夜 色々な夜-類架 2005年12月16日[16:54]
冷え込む夜。

12月に入った途端、街はクリスマス色に染まる。
素敵なクリスマスを期待して、大人になった今でも心は弾む。
なのに、深々と降り積もる雪の日は、とても静かで誰もが無口に通り過ぎる。
こんなに沢山の人が居るのに、たったひとりの様な気がして余計に寒さが身に沁みる。

だけど。


二人なら。






手をつなぎ夜の散歩。
白いマフラーに白い帽子。
 「花沢類は何色でも似合うよね。」
ふいにつくしが言うと、類はにっこりと微笑を返す。
 「牧野は白が似合うね。」
寒さに瞳が潤み、薄く色づいた頬と唇が可愛くて、愛しい。
類は抱き締めたくなる衝動に駆られた。

 「ねぇ?牧野。」
類は立ち止まり、一歩先を行くつくしが「ん?」と小首を傾げ振り返る。

 「今年のクリスマスは、何が欲しい?」
つくしは苦笑いしながらこう答えた。
 「何にも。だって、何でもない日にあたしの欲しいもの買ってくれちゃうし。
 もう欲しいものなんて何にもないよ!この間だって、この帽子とマフラーくれたし、その前だって・・・。」

だって、呆れた顔しながらも牧野、喜んでくれるから・・・。
それに・・・会える口実にもなるし?
なんて言わない。

 「だって、牧野がいつも物欲しそうに見てるから。ぷっ。」
 「そ、そんな事ないよ!これでもちゃんと働いてるもん。そりゃ、何でもすぐに買えるほど沢山は無いけど・・・。」
少しはにかみ俯いて、つくしはぶつぶつと独り言のように呟く。

 「牧野・・・ぷぷっ。ご、ごめん・・・さっきの冗談だから・・・くくくっ!」

 「なっ!もう!!そんな冗談やめてよね!ほんとにそんな顔してたのかと思って、すっごく恥ずかしかったんだから!!」
ほんと、牧野の顔は百面相で面白い。ぷっ。

 「それで?!花沢類は何が欲しいの?」
笑い続ける類に、つくしは頬を膨らませ言った。


出合って10年目のクリスマス・イヴ。
二人で過ごすクリスマス・イヴ。
沢山のイルミネーションを散りばめた街路樹たち。

一番欲しいものは・・・・・・。
白く煙る二つの息が交じり合う。

一番欲しいものは・・・・・・。
真っ白な雪が、類の言葉を吸い取っていった。



次回へ続く!




◆後書き・・

ブラックな夜 色々な夜-類架 2005年11月18日[00:00]
 「18日、付き合ってくれない?」

週末のデートの帰り際、花沢類が言った。

 「平日だけど大丈夫なの?」

小首をかしげて聞いてみた。
毎日仕事が忙しく、会えるのは月に2・3回。しかも、午後からとか、午前中だけとか。
年末に向けて仕事が多くなってきているらしい。
小さな会社の一般事務をしている私には、あまり影響がないんだけど。

 「ん。平気。迎えに行くから。」

全開の窓。
別れのキス。
走り去っていく車が見えなくなるまで手を振る。

またしばらく会えないと思っていたのに、またすぐ会えるなんて。
ちょっと嬉しいって、素直に思えるのはきっと花沢類だからかもしれない。

いつも忙しい花沢類は、会っても寝ることが多い。
そんな彼の寝顔を見ていると、すごく幸せな気分になる。
だけど、体が心配。
無理してるんじゃないかって、いつも思ってしまう。
それに・・・。


生きてる世界が違う。



花沢類は心配しなくても良いって言うけど、花沢類はお金持ちのお坊ちゃま。
あたしは、道明寺風に言えばボンビー人。
いつか来る・・・別れが、あともう少し先であって欲しい。。。

そう、いつも怯えてた。
会えなくなるほど、側に居れない時間が苦しくって、解かりきった事なのに。
ちゃんと理解してるのに。
心がついてこなくて、また不安になる。

もしも願いが叶うなら。
ずっと側に居たい。



***   ***   ***   ***



電話越しに聞こえてきた牧野の声は、いつも俺を心配してる。
だけど、アイツはわかってない。
俺がただ、会いたいだけってこと。
俺がただ、側に居たいだけって事。

ふと気がつくと、寂しそうな牧野の顔。
それを見ると、俺も寂しくなってくる。

大丈夫。
平気だから。
心配しなくても良いよ。

何度も言ってるのに、そんな顔されたら・・・ちょっとね。
実際に、もう親の了解はとってある。
牧野以外は考えられない。
今の俺があるのは牧野と出会ったからなんだから。

自信、持って欲しいな。もう少し・・・。


俺の言葉、信じて欲しい。




***   ***   ***   ***



ビックリするだろうな。もしかしたら、かなり面白い顔見れるかも。

そんな期待を裏切らないつくしは、類との約束の日フライパンを持って現れた。
というのも、類がつくしの家のスペアーキーを持っていて、18日になった深夜連絡なしに家に入ったのだ。

 「花沢類?!え・・・?!」
てっきり泥棒か何かだと思っていたつくしは、フライパンを握りしめたまま硬直した。

 「18日、なったから迎えに来たんだけど・・・時間言ってなかったっけ?」
時間なんて言ってない。
なのに、必死に思い出してる牧野の顔・・・ぷっ。

そんなつくしをそっちのけにして、類はつくしのクローゼットを探り出した。

 「寒いから、あったかい格好して。かなり寒いと思うから。」

 「え、ちょっと待って。い、今からなの?!」

 「そう。今から。」

 「下で待ってるから、着替えて降りてきてくれる?」

 「え、あ・・・うん。って何処行くの?」

 「着いてからのお楽しみ。」

玄関のドアが閉まり、つくしは呆けていたものの早速準備に取り掛かった。
深夜0時に迎えに来るなんて、一体何を考えているんだろうと思いつつ急いだ。
それでも素顔にパジャマだった為、20分程かかってやっと準備が整い、類の車へと小走りで近づく。


車は1時間半ほど走り、山の中へと入っていった。
何処へ行こうとしているのか、聞いても「内緒」というだけで、全く解からない。
ただ、車の中には水筒とカバンが一つ。それに毛布。



深夜辺りは冷え込み、漆黒の森。夜空に輝く月明かりと、満点の星。
車の揺れにつくしはいつの間にか眠っていた。

 「牧野、起きて。着いたよ。」

類の声につくしは眠気眼を擦りながら、辺りを見回す。

何もない。

先に車を降りている類の側へ行くと、4畳ほどのふかふかの絨毯と、小さなテーブルがある。
類はつくしに毛布を被せ、座るように促した。
つくしは言われるままに座り、ゆっくりと辺りを見回す。
月明かりだけの世界。
山の頂上なのだろうか、360度見渡せる。
類は、毛布を被りつくしの横に仰向けになって寝転んだ。

 「牧野もおいで。」

差し出された腕に寄り添い、夜空を見上げる。
頬をかすめる空気が頬を刺激する。
けれどそれ以上に見上げた星空は怖くなるほどに輝いていた。



 「眠い?」

 「ううん、眠気なんて吹っ飛んじゃった。すごく綺麗。なんか、最近星を見上げる事なかったかも。
 勿体無いね。こんなに綺麗だったんだ・・・。」

 「そうだね。」

 「今にも落ちてきそうな星空を観てると、吸い込まれていきそうでなんだか怖い気がする。」

 「ん。あ、コーヒー飲む?」
水筒に類が手を伸ばした時、つくしが声を上げた。

 「花沢類!今、流れ星!!」

星空のように瞳を輝かせるつくしに、類は目を細くしてコーヒーを差し出す。

 「願い事、出来た?」

 「あ!忘れてた!」

 「じゃあ、また観れるかもしれないから、願い事今のうち考えといたら?くすっ。」

つくしはコーヒーを一口飲み、願い事を考える。



あたしの願い。

花沢類がいつまでも健康でありますように・・・。
って、これじゃ神社のお参りみたいだし・・・。
花沢類とずっと一緒に居たい。
結婚なんて出来なくてもいい。
友達でも良い。変わらず、側に居れたら・・・。



 「決まった?」

 「うん。また観れるかわかんないけど。」

 「そうだね。・・・あ!今流れた。東の方。」

 「えー!観れなかったー。よし!今度は見逃さないんだから!」


グレーの雲がうっすらと漂っている。
澄み渡った空気の中に寄り添っていると、寒いのにあったかくて、
一緒に居ると心も澄み渡っていくのを感じていた。

キラリと走る光。
冷たい手を組み合わせ流れ星に願いをかける。


どうか、花沢類とずっと一緒にいれますように。


 「いいよ。」

類が小さく答える。
体がぴくっと反応する。

 「え・・・。」

 「俺、ずっと側に居るよ。離れる気なんて更々ないし?」

 「え、あの・・・ええっ?!」

 「なんでそんなに驚くのさ。さっき俺と一緒にいれますようにって願ったんだろ?声に出てた。」
くくくと笑う類と、真っ赤になって今更口を押さえるつくし。



 「好きだよ。これからもずっと。」






そんな二人の上でまた一つ、誰かの願いを乗せて流れていく。





END

◆後書き・・

レッドな夜 色々な夜-類架 2005年11月04日[00:00]
鏡に向かってどれ位経つだろう。
髪をとかし、いつも通りにメイクする。

だけどあたしの顔は日に日に暗くて陰湿な顔に見えてくる。


花沢類が冷たくなった。
突然だった。
最初はどうしたんだろう、機嫌が悪いのかな?程度にしか思って居なかった。
だけど、それはエスカレートしていき、寂しさが募った。
寂しくて寂しくて、何度も会いに行ったけど会ってくれるどころか、
「会いたくない」と追い返されてしまうようになった。

先々週も・・・。
忙しいスケジュールを調整して、日曜日を約束していたのにそれさえも・・・。


それから無性に腹が立って、「一体何をしたって言うのよ!」って思ったけど、
やっぱり会えなくちゃ聞くことも出来ない。
電話にさえ出てくれないのに、話も出来ない。


 「あたしが何か悪い事したのかな・・・。
 何かしたんだったら謝るから・・・教えてよ・・・。
 花沢類・・・。」


鏡に映るもう一人のつくしに聞いてみる。
返事が帰ってくるはずもなく、つくしはうなだれた頭を鏡にもたれ掛けた。


 「教えてよぉ・・・・・・っ!」




ぽたっ・・・ぱたぱたっ・・・・・・




艶やかな黒髪が垂れ下がり、その隙間から雫がはらはらと落ちてくる。
小刻みに揺れる肩。
つくしは、へたれ込んで泣きじゃくった。



もう・・・嫌われちゃったんだね、あたし・・・。

今までちゃんと好きとか言わなかったから・・・。

ただ恥ずかしかった、だけだけど・・・でもちゃんと言えなかったから・・・。



つくしは、類との二人で過ごした時間を想い、小さく微笑した。


 「牧野、俺のこと好き?」
 「何よやぶから棒に。」
 「好き?」
 「うーん、・・・と、トイレ行ってこよっと。」
あの時、心臓飛び出るかと思ったんだよね。。。
 
 「今度ココ行ってみようよ。」
 「いいけど、日帰りじゃ無理だよ?」
 「あ、じゃあ忙しいからダメ?」
 「そうだな、すぐは無理だけど調整してみる。」
 「ほんと!?やった~!じゃ、予定決まったら連絡してね。それまでに資料集めとかなくちゃ。
 あとは~・・・あー!楽しみ~♪」

 「花沢類、寒いから一緒に・・・その・・・寝ない?」
 「いいよ。おいで。」
 「やっぱりあったかいね。」
 「そうだね。」
花沢類があんまりあったかくて、あたしはすぐに眠れたんだ・・・。


だけど、あの旅行から帰ってきて少ししてからだ。
花沢類が冷たくなったのは・・・。

思い出して、また涙がこぼれた。


もう、会えないんだね。花沢類・・・。
別れの言葉もないまま。
こんなんじゃ、あたし、辛すぎるよ・・・。







 「牧野・・・。牧野。」
あのまま眠ってしまっていたつくしは、類の声に目を覚ました。

 「花沢類・・・。なんでココに・・・?」

真っ赤に晴れ上がったつくしの顔をみて、散々泣いていたことが解かる。
切なく胸を締め付けられて、類はつくしに毛布を被せた。

 「なんか気になって。」

喉の奥が苦しくて、聞きたいことが沢山あるのに出てこない。
名前を呼びたいのに、言いたかった言葉が沢山あるのに―――――っ!

 「好きだよ。」

え・・・?

 「好きだよ。牧野のこと、すごく。」

じゃあ・・・

 「なんで・・・?」
またつくしは目頭に熱くなるものを感じたが、今泣く訳にはいかないと、
やっと声に出せた言葉を鼻をすすりつつもう一度聞いた。

 「じゃあなんで、会ってもくれなかったの?あたしの事嫌いになったからじゃなかったの?」

嫌いになった、という言葉に、類は目を丸くした。
まさかそんな風に思っているとは考えても居なかったからだ。

 「嫌いになれると思う?」

 「そんなの、そんなの解かんないじゃないっ!パンピーだし、礼儀とか全然わかんないし、
 胸ないし、それに大事なことも言わなかった・・・し・・・。」

類のおかしな問いに、捲くし立てる様に声を張り上げたが、
類の穏やかな笑みに段々と意気消沈していった。

 「大事なことって何?」

 「それは・・・その・・・。あたしが花沢類のこと・・・その・・・。」
つくしは目を泳がせ、顔を赤らめてうつむいた。
 「俺のこと・・・何?」

俯いたまま返事をしないつくしに、類はひとつ息をつく。


 「俺だって一応健全な男なわけだし?好きな女と一緒に居て、触れたいとか思うんだよね。
 だけど、牧野があんまり無防備だし。
 俺のこと、男として見てないんじゃないかって、思って。」

優しく微笑んでくれるその瞳に映るつくしの眼差しが強く光った。

 「そんな事ないわよ!あ、あたしだって花沢類のことちゃんと、男の人として
 ・・・す、好きだもん。」
言った途端、類はつくしを抱き締めた。
息も掛かる距離に、更に頬を染め上げていくつくし。
ふたりは互いの瞳に吸い寄せられるかのように、唇を重ねた。


 「会いたかったよぉ。」
 「俺も。」

 「これからは気をつけるから、だから冷たくしないでね?」
恥ずかしげに瞳を潤ませいうつくしに、類はくすりと笑う。

 「牧野って、紅葉みたいだね。」

は?
 「なんで?」

 「だって、急に冷たくしたら、こんなに真っ赤になったし?名前つくしから紅葉に変えたら?」
なっ!
 「もう!!花沢類っっ!!」


ふくれっ面なのに真っ赤な顔のつくしが愛しくて、類はまたキスをする。


 「もっと真っ赤な紅葉がみたいな。久しぶりだから、今夜はいっぱいしよ。」

・・・何を~~~~~~~~~~~!!!???

 「だから、牧野がもっと真っ赤になる事。もう待たないからね。」

花沢類のその笑顔みれて、すごく嬉しいけど、何かちがうぁぁぁうっ!!





ひらりひらりと舞い落ちる木の葉。
寒い秋の夜長に降り積もれば
木の葉にうずもれる恋心は暖か成り・・・。






END

◆後書き・・

オレンジな夜 色々な夜-類架 2005年10月21日[00:13]
秋になり、少し肌寒い夜は、花沢類が散歩をする。

あたしのバイトが終わって帰る頃、店の前で待っててくれる。


 「お疲れ様。」
そう言って微笑む花沢類のあったかさが、言葉では中々言えないけど。


好き。





今日つくしは、早めにバイトを上がり、二人で何をするわけじゃでもブラブラと歩いていった。
つくしの弟進は、両親の所へ泊まりに行っていて、特にご飯を作らなくてはいけないと言うコトもないので、
久しぶりにデートをすることになったのだ。

まだ7時だというのに、もう真っ暗で。
とは言っても、街灯や店の明かりが眩しい。
目に留まる可愛く飾られたオレンジ色のカボチャが、そこここの店に飾られている。

そんな中で、一際つくしの瞳を惹きつけたのは、小さなカボチャのついたストラップ。
そのカボチャは、鈴になっており、秋を感じさせる澄んだ音を奏でた。

 「欲しい?」
 「あ、ううん高いしね。でも可愛いなーと思って。」
値札に溜息を吹きかけ、棚に戻したつくしはそう言って明るく微笑む。

 「そ。」

そう言いながらも類は、ストラップをもって店内へと入っていった。

 「え、ちょっと!花沢類?!」

先に歩き出していたつくしが振り向き、店内に追いかけようとドアを開けた瞬間。

 「はい。お中元。」

唐突な花沢類の言葉に、口のしまりが悪くなる。
 「もうお中元の季節じゃないと思うんだけど。。。」

 「じゃあ、プレゼント。」
 「も、貰えないよ。誕生日とかでもないのに。」
類は手のひらに小さな紙袋を乗せて、少し考え込んだ。

 「好きな女の子にプレゼント上げたいって思っただけなんだけど。」
小首をかしげてつくしの様子を伺う類の仕草に、つくしの胸が大きく跳ね上がった。
上昇する体温に、赤面しているであろう顔が見えないようにと
つくしはうつむいた。

そして、もごもごとしながらも、手を差し出す。
類はつくしの手にそれを乗せて、また歩き出した。


 「ありがと。」


 「どういたしまして。」




早速携帯にストラップをつけて、夜空にかざしてみる。
チリーン

 「ありがと、花沢類。」
 「一回で良いよ。そんなたいそうなものじゃないしさ。」
 「うん、ありがとう。」

また、小さく鳴らしてカバンへいれた。

 「そういえば、花沢類ってハロウィンやったことある?」
 「あるよ。幼稚舎の時。」
 「へぇ!やっぱり日本でもやってる人居るんだ?」
 「あの時は、静がやりたいって言い出して、俺は無理やりだったんだけどね。」

 「ハロウィンって、お化けの格好するんでしょ?花沢類は何になったの?」
 「確か、ミイラ男。で、総二郎がドラキュラ、あきらが狼男。司はフランケンシュタインだったかな。」

つくしは道明寺家でみた、幼稚舎の頃のF4を変身させて大笑いした。

 「あはははっ!すっごいハマってるかも!」

 「牧野だったら何になりたい?」

 「お岩さん。」
即答で返事をしたのは良かったけど、すぐに後悔した。

 「牧野がお岩さん・・・。ぷぷーーーーっっ!」
泣くほど笑うことないじゃない。だって・・・。
 「日本人なんだから、日本のお化けだっていいじゃない!
 もう、花沢類笑いすぎっ!それで、そのあとどうしたのよ!」

ごめんごめんと言いつつも、悪びれた素振りもなく、類はお腹を抱えながら続けた。
 
 「それで、幼稚舎のクラスの奴等の家に行って、お菓子を貰ってたんだけどさ。
 半分くらいの家で断られて、司が思いっきり生卵投げつけてた。
 たぶん、あれがやりたかったんだろーね、司は。」

類は思い出しては、笑い、また話しを進める。

 「最後は、4件立て続けに断られてさ。次の家で断られたら生卵の嵐だーって司が、
 ポケットとかに生卵詰め込んで両手にも持って、そしたら着いた家の玄関先で転んで・・・ぷぷぷっ!」

そのラスト、言わなくっても想像がつくから怖い。

 「結局、司が全身生卵になって帰った。ぷぷっ。」


しかめっ面で、偉そうに歩いていく生卵星人・司を想像して、
つくしと類はまた、大笑いした。



 「そういえば、アンタも頭につけてたね。生卵。ぷ。」
赤札を貼られた時の悪夢が蘇って、類を追いかけてた頃を思い出して・・・。

 「もう!あのときの話はしないでよっ!」

 「なんで?面白かったよ?」

 「だから、やめてってばぁぁぁぁ!!」




 「あ、そうだ。今度のハロウィン、一緒にやろっか。」

 「え?!やりたい!」

 「特殊メイクアーティストに頼んでさ。牧野のお岩さん見てみたいし。ぷぷぷっ。」

 「それが観たいだけ・・・じゃ?」

 「うん!」




あのねー・・・。




そして、つくしは特殊メイクで「お岩さん」になり、類はまたミイラ男。

最初に行った総二郎宅では、すぐに「何やってんだ?」と素で言われ、
次に行ったあきら宅では、逆に脅かされ。

総二郎、あきらも仮装して、司宅へ行くと、
驚きの余り、司は総二郎とあきらを殴り蹴りたおし。
F2は慌ててメイクを剥ぎ取った。

つくしと類は、顔を見合わせくすりと笑う。
今までで一番楽しいハロウィンを過ごせたお礼に、つくしは類の頬にキスをした。

 「ありがと、花沢類。」
 「どういたしまして。」

「そこー!何イチャついてんだよー!!」
司も仮装して、さ!次はどの家に行こうかな?




小さな鈴の音が聞こえたら、きっとつくし達が・・・。
ピンポーン!

あ、ほら!









END




◆後書き・・


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